睡眠を制す者は、人生を制す

★投稿修正★ 2026年2月2日 by a-NEN





あなたはしっかりとした睡眠が取れていますか



 睡眠は、人生の3分の1から4分の1を占めています。私は、数年前から、自分の睡眠について真剣に考えるようになりました。なぜなら、睡眠の良し悪しが人生の良し悪しと深く関わっていることを知ったからです。

 “良い睡眠は良いこと尽くめ” 
 “悪い睡眠は悪いこと尽くめ

 古より「寝る子は育つ」という言葉があります。しっかりと寝ることで、子どもは良く育つという意味です。実は、大人も同じく育ちます。良い睡眠が取れると健康が維持できるとともにパフォーマンスも向上社会の発展にも大いに貢献できます
 では、寝ない子はどうなるのでしょうか。どうやら、成長に悪影響,寝不足で体が重いというだけでは済まされないようです。体調を崩すだけではなく、なんと“睡眠不足は命を削る”ようです。そして、悪い睡眠はパフォーマンスの低下だけにとどまらず人災を招くことすらあり社会に損害を与える危険性も高めます


あなたは睡眠負債という言葉をご存知ですか



 この言葉は、2017年の流行語大賞トップ10にも選ばれています。
 睡眠不足の累積(=負債,借金,債務という意味合いで借金と同様返済,解消をしていかなければ脳も体も思うように動かせない心身の自己破産を招くという意味です。
 自治医科大学で行われた調査で、睡眠時間が6時間以下の人は、7~8時間の人と比べ、死亡率が2.4倍高くなるという恐るべき結果が出ています。睡眠時間は最低でも6時間と専門家が言っている根拠だと考えられます。
 そんな中、今の20歳以上日本人は、1日の平均睡眠時間6時間未満の割合が37.5%(男36.2%、女38.9%)。実に4割弱にものぼります。 厚労省令和6年国民健康・栄養調査結果の概要 20ページ参照


 世界の中で、日本は睡眠負債大国だそうです。

 睡眠負債は、自覚のない病とも言われています。睡眠時間が不足している理由は様々あるかと思われますが、そもそも、睡眠の重要性を知らない,睡眠のことを普段から意識していない人が多いのではないでしょうか。
 睡眠を疎かにすることで人生を台無しにしている人が多いと私は感じています。
 学校教育と社員研修に足りないのは睡眠教育



睡眠のメカニズム 

 まずは、生体リズムの理解です。私たちは約24時間周期で働く生理的なリズム(体内時計)を持っており睡眠や食欲ホルモン分泌などを調整しています。
 人は暗い夜に眠り明るい昼間に活動する昼行性の動物です。電灯という便利なものを手にしたので、夜間でも明かりの中で活動ができますが、本来、夜は暗くて活動しない時間,休息する時間です。眠らない街が、眠れない人を生み出しているという側面があります。
 当たり前ですが、私たちは、ずっと起きていることはできません。必ず、疲れて眠ります。眠くなる理由は体の中で睡眠圧力が高まり覚醒力が低下するからです。体や脳のエネルギーが使われると、脳内に、休息を促すための物質であるアデノシンが溜まります。起きている時間が長くなったり、心身の疲労が溜まったりするとアデノシンの濃度が高くなり、細胞活動を抑制させて眠気を生みます。

 また、夜になるとエネルギーをできるだけ使わないようにするために体から熱を逃がし脳を冷やす仕組みになっています。暗くなると、脳内にある松果体という部分からメラトニンというホルモンが出ます。メラトニンは、血圧を下げ、体温を下げ、覚醒を抑え込んで眠りを誘います。


 睡眠により、アデノシンは減ります。そして、メラトニンも明け方に向かうにつれて減り、血圧,体温を上げていきます。朝方になると覚醒作用を持つコルチゾール(副腎皮質ホルモン)が出始め、体温及び脳の温度が自然に高くなります。ちなみに、脳内に蓄積された睡眠圧(アデノシンの量)は、大人の場合、8時間ほどぐっすり眠れば一掃されるようですが、残っていると睡眠負債の原因となるようです。

 
 

 
 
 あなたもご存知の通り、睡眠中は、ノンレム睡眠とレム睡眠とが交互に訪れます。ノンレム睡眠から始まり、レム睡眠とのセットが、明け方までに4、5回繰り返されます。

【レム睡眠】
 REM(Rapid Eye Movement 急速眼球運動)がある、浅い睡眠状態のこと。体を休める眠りと言われている。脳が活発に動いていて記憶の整理や定着などを行っている。

【ノンレム睡眠】
 REMがない(non-REM)、深い睡眠状態のこと。大脳は休息しているため、脳や体の疲労回復に必要な睡眠と言われている。眠りの深さは4段階。段階1は、浅く、うとうとしている状態。段階2は、軽く寝息を立てているような中程度の眠り。段階3と4(上の図の青い部分)大きな音でも目覚めないような深い眠り

 


睡眠が果たす役割


体と脳に休息を与え、疲労を回復させる
 活動モードを続ければ、体と脳には疲労とストレスがたまります。
睡眠はエネルギーの消費を抑えます体温を下げて筋肉の緊張を積極的に下げ交感神経を休ませることで体の疲労を取り除きます。特に、我々人間は脳を酷使しています。睡眠によって大脳皮質(特に前頭連合野や頭頂連合野)を休ませて脳の疲労を回復させます。前頭連合野は、注意力,情報処理,状況判断,意思決定などを行なう、極めて重要な役割を果たしています。
 体と脳の疲労をしっかりと回復することで、体が軽やかになり、集中力,思考力も高まり、日中のパフォーマンスが高まるのです。日頃から高いパフォーマンスを発揮している人は、睡眠も重視しているようです。
 逆に、疲労が回復していないと、体が重く、集中力,思考力も低下し、パフォーマンスが低下します。日中に、眠気も襲ってきます。一番分かりやすいのが居眠りの状態です。前頭連合野の働きが低下すると、作業ミス,認識ミスの増加、思考力の低下、作業スピードの鈍化、モチベーションの低下がおこります。
 チェルノブイリ原発事故などの大人災も、睡眠負債が原因の一つと言われています。アメリカの交通安全を推進する非営利が、2016年に自動車事故と睡眠との関係性について調査した結果では、睡眠4時間未満で交通事故の確率は11.5倍、4~5時間で4.3倍という推定値が報告されています。社会への被害,経済的損失も多大なものとなります。
 私たちの体調と直結している重要なものに、“自律神経というものがあります良質な睡眠により自律神経が整います。自律神経とは、全身に巡っている神経の1つで、“生命を維持するために24時間、全身をコントロールしているシステム”です。“内臓や血管などのはたらきを自動的に調整”しています。
 自律神経は“交感神経”と“副交感神経”の2つにわかれています。

【交感神経】
こころと体を動かすアクセルの役割を持ち、日中の活動時や緊張しているときに活発になる。
★心身が活動的で興奮している時に優位に働く

【副交感神経】
こころと体を休ませるブレーキのような役割があり、リラックスしている時や眠っている時に優位になる。
★心身がリラックスしている時、食べ物を消化している時に優位に働く

 交感神経と副交感神経は、どちらかが30%ほど優位になります。ストレスが多い現代では、慢性的に交感神経の活動が優位な人が増えており、“自律神経失調症”の人も多いようです。自律神経を整えるには、意識的に副交感神経を刺激する工夫が必要だと言われています。そのためにも、副交感神経が優位になる睡眠を充実させることが必要です。

 体にエネルギーがなければやる気も行動も起こりません
 “がんばるためにまず休む
 “その日の疲れはその日のうちに取る
 これが基本です。



記憶力の向上    
 記憶の定着は睡眠時に行われていることが分かっています。
睡眠により、出来事,時間,場所に結びついている記憶(エピソード記憶)、言葉の意味など知識に関わる記憶(意味記憶)、動作を体で覚え、体を無意識で動かせる記憶(手続き記憶)が定着します。特に、長時間経ってからでも思い出すことができる長期記憶の整理,索引づくりには睡眠がかなり関わっているようです。
 悪質な睡眠は、日中の前頭連合野機能低下による不十分な覚醒下による覚え(インプット)の悪さを招き、夜間の不十分な記憶定着からの取り出し(アウトプット)の悪さも招きます。徹夜で勉強,翌日の仕事準備をするよりも、早く寝て、朝方にがんばる方が得策です。
 ちなみに、睡眠学習は、意味がないだけではなく、睡眠の質を下げるようです。 


ホルモンバランスを調整する
 ホルモンバランスが整うことで生活リズムが整い免疫力も維持でき体調が整います。逆に、ホルモンバランスが崩れると、体調を崩します。※直下の欄と病気を遠ざける欄を参照

 
成長ホルモンの分泌により、骨,筋肉の発達を促す、肌の美しさ(傷の修復)を保つ
 睡眠前半の深いノンレム睡眠中に成長ホルモンが集中して分泌されます。成長ホルモンの分泌は、残念ながら、20歳前後がピークで、25歳を過ぎると急速に低下するようです。ただ、睡眠中に限っては、35歳から70歳まで分泌能力にほとんど差がないようです。
 骨や筋肉も主に睡眠中に作られます。日中にいくら骨に良いものを摂取しても、しっかりと筋肉トレーニングしても、しっかりと睡眠を取らないと身にならないということです。

 そして、お肌の美しさにも睡眠が関係しています。規則正しい,良質な睡眠が、皮膚の再生を盛んにするため、お肌の張りと保湿力が保たれます。皮膚細胞の再生にも必要な成長ホルモンの分泌は、ノンレム睡眠の段階3、4(深い眠り)に入ることがきっかけのようです。肌の保湿に関わるコラーゲンタンパク質も、成長ホルモンにより、生成が促進されます。また、良質な睡眠で交感神経がしっかりと休息できると、末梢までの血流が増え、新陳代謝も良くなります。睡眠中の成長ホルモン分泌は、あまり年齢に左右されないので、確かに、ご高齢でもお肌のキレイな方、おられますよネ。一方、睡眠不足,不規則な睡眠は、成長ホルモンの分泌や交感神経の休息を妨げ、肌を不健康にします。“寝不足はお肌の敵”なのです。
 また、睡眠負債により、日中、肌の色がくすみ(皮下の細動脈が収縮)、顔が弛み(顔面筋が弛緩)、姿勢もだらしなくなり(小脳の姿勢防御機能低下)、目の輝きも感じられなく(涙腺機能低下でドライアイになりやすく、瞳孔反射も遅延)なります。
 まさに、睡眠は、美容の土台ともいえます。睡眠を疎かにしたまま、お金をつぎ込む美容にだけ勤しむのは、少し滑稽な感じすらします。[汗]


病気を遠ざける
 良好な睡眠が取れていると免疫力が働きます。免疫力があると、ウィルスへの抵抗力があり、風邪などの発症を防ぎやすくなります。逆に、十分な睡眠が取れていないと、免疫力が低下します。2015年のカリフォルニア大学の調査で、過去1週間に7時間以上睡眠した人と比較して、5~6時間の人は4.24倍、5時間未満の人は4.50倍も風邪をひく確率が高いという結果が出ています。ハウスダストで寝室が汚れていても、免疫力が十分に発揮されないようです。寝具を清潔に保ち、空気をきれいにし、適切な湿度を保つという環境整備と合わせて取り組めると、万全ですネ。
 睡眠不足や質の悪い睡眠は高血圧になるリスクも倍増させるようです。理由は、循環器機能の維持のために“眠っている間は血圧を下げる”という本来の役割が果たせなくなるからです。寝ている体勢そのものが血圧を下げる役割を果たしており、睡眠で交感神経が休むこと,心拍数も下がることで血圧が下がります。2003年に発表された聖マリアンナ医科大学の調査では、寝つきにくい人や中途覚醒などで眠りが不安定な人は、約2倍も高血圧になりやすいという報告があります。また、2007年に発表されたイギリスのウォーリック大学の調査では、5時間以下の睡眠時間の女性が高血圧になるリスクは2倍以上との報告です。高血圧は、循環器系疾患、心臓疾患、脳卒中、腎疾患、糖尿病になるリスクを高める恐ろしいものです。睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上8時間未満の人に比べて、心筋梗塞や狭心症のリスクが約5倍になるという報告もあるようです。

 睡眠の質は肥満や糖尿病とも関係しています。睡眠時間が減ると、食欲増進ホルモンであるグレリンが増え、食欲抑制ホルモンであるレプチンが減ることが分かっています。2004年に発表されたスタンフォード大学の研究(30~60歳を対象とした調査)で、8時間睡眠の人と比べて5時間睡眠の人では、血中グレリンが14.5%も増加し、血中レプチンが15.5%も減少していることが分かりました。また、2005年に報告されたコロンビア大学の研究(成人を対象とした調査)では、睡眠が7~9時間の人に比べて4時間以下の人は肥満の危険性が2.35倍という結果でした。リスクは、5時間の人で60%、6時間の人でも27%も高いという結果でした。睡眠時間は、長くても肥満のリクスは上がるようで、9時間以上は良くないようです。7~8時間の睡眠が、肥満リスクを最も下げるようです。
 また、睡眠時間が減るとインスリンの分泌が悪くなり血糖値も高くなります
 さらに、睡眠負債により生活リズムが乱れることが太りやすい習慣と体を作ってしまいます。睡眠負債が大きくなると、糖質代謝パターンがエネルギー蓄積方向にシフトしてしまうようです。予備のエネルギー源であるグリコーゲンを蓄積しようとし、グリコーゲンが一定レベルを超えると脂肪となります。また、朝食を食べずに、カロリー消費をしない夕食や夜食のカロリーが増えることで拍車がかかります。内臓脂肪が溜まり過ぎると、メタボリックシンドロームとなり、生活習慣病へとつながっていきます。2004年に発表された岡山大学の調査では、Ⅱ型糖尿病は、寝つきにくい人は約3倍、中途覚醒などの眠りが不安定な人は約2倍も発症しやすいという結果でした。また、2016年に発表された論文(36件の研究を解析)では、睡眠時間5時間以下の人は糖尿病のリスクが1.48倍、9時間以上の人はリスクが1.36倍と報告しています。


こころの健康を保つ
 睡眠負債は脳の前頭連合野の働きを低下させます前頭連合野は意欲とも関係しており働きが低下するとやる気がなくなります。そして、前頭連合野は情緒を安定させる機能,共感する機能,行動を抑制する機能とも関係しています。レム睡眠中に、情動を担う領域や大脳皮質の大部分がとても活発に働くようです。悪質な睡眠は、我慢しにくくなったり、キレやすくなったり、涙もろくなったり、他人の感情が読み取りにくくなったりさせると考えられます。
 また、「嫌なことは、寝て忘れる」とよく言いますが、これは科学的にも裏付けがあります。睡眠には嫌な記憶を消去してストレスを軽減,発散する役割もあるのです。特に、最初に訪れる深いノンレム睡眠時に処理されるようです。
 ストレスが溜まり続ければ、こころの健康が損なわれます。そして、うつ症状が酷くなると、うつ病などのこころの病気になります。2012年のペンシルバニア大学の研究では、睡眠負債が蓄積している高齢者では、うつ病になる危険性が2.05倍になると報告されています。不眠が2週間以上続くようなら、うつ病の可能性もあるようです。その場合は、専門医である心療内科や精神科にかかることをお勧めします。
 良質な睡眠は、こころの健康を保ちます。


脳に溜まったゴミを取る
 脳に溜まった老廃物は脳を保護している脳脊髄液が新しく入れ替わる際に除去されており主に睡眠中に行われています。“アミロイドβ”というタンパク質の蓄積がアルツハイマー型認知症の発症と“αシヌクレイン”というタンパク質の蓄積がレビー小体型認知症やパーキンソン病の発症と関係していることが分かっています。
 2013年に発表されたワシントン大学の研究結果(45~75歳を対象にした調査)では、睡眠負債によって “アミロイドβ”の蓄積が5.6倍となりました。また、2015年に発表されたスウェーデンのウプサラ大学の研究では“αシヌクレイン”の脳外排出も、睡眠時の方が高いという結果も出ているようです。睡眠負債が蓄積すると、70歳以上での認知症の発症危険率が2.14倍、アルツハイマー型認知症の発症危険率が2.92倍になるとの報告も、先のウプサラ大学からされています。
 つまり、良質な睡眠が認知症の原因物質を抑制するのに一役買っているといえます。

 睡眠負債は万病の元

 睡眠は体全体のメンテナンスです。
 良質な睡眠の確保は優先度が高いといえます。睡眠時間を削ることは不健康で非効率なため避けるべきです。睡眠時間を削って活動する方が、有意義な人生を送れると考えている人は、考え方を改めた方が良いでしょう。
 年齢や個人差はあるでしょうが、睡眠は、7~8時間確保するとベストだといえます。ちなみに、私の理想的な睡眠時間は7時間半~8時間くらいです。

 良い睡眠は一番の薬
 悪い睡眠は一番の毒

 「疲れやすい」「なかなか疲れが取れない」「体調が優れない」という場合は、年齢のせいにして諦めたり、すぐに医者にかかったりする前に、まずは睡眠を見直してみましょう。まずは、自己治癒力の向上



毎晩眠りにつくたびに私は死ぬそして翌朝目を覚ます時生まれ変わる
マハトマ.ガンジー(宗教家,政治指導者)



睡眠度チェック

 朝の目覚めがすごくつらい、昼間に強い眠気がある、うたた寝をしてしまう、休日がいつもより2~3時間以上長く寝てしまう。こんな場合は、睡眠不足であると考えられます。

 世界共通の不眠症判定法として、WHO(世界保健機関)が中心となり設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した、アテネ不眠尺度(AIS)というものがあります。


 不眠症という言葉になっていますが、睡眠負債の程度という意味合いに置き換えるとよいと思います。

 また、世界的な専門的知見から示されている年齢別推奨時間というものもあります。寝過ぎも睡眠不足と同じように良くないことが分かっています。個人差がありますのであくまでも目安ですが、参考になります。

 0~3ヶ月:14~17時間(11時間未満と19時間超は避ける)
 4~11ヶ月:12~15時間(10時間未満と18時間超は避ける)
 1~2歳:11~14時間(9時間未満と16時間超は避ける)
 3~5歳:10~13時間(8時間未満と14時間超は避ける)
 6~13歳:9~11時間(7時間未満と12時間超は避ける)
 14~17歳:8~10時間(7時間未満と11時間超は避ける)
 18~25歳:7~9時間(6時間未満と11時間超は避ける)
 26~64歳:7~9時間(6時間未満と10時間超は避ける)
 65以上:7~8時間(5時間未満と9時間超は避ける)

 
 ■自分自身のベストな睡眠時間の調べ方

①いつもより30分早く寝るようにする。1週間ほど続ける。
 眠気が改善しない場合は…
②もう30分早めに寝るようにする。1週間ほど続ける。
 こうして、平日と休日の睡眠時間に2時間以上の差がなく、つらい症状が見られなくなれば、それがベストの睡眠時間です。

 逆に、睡眠時間が8時間以上で、寝つきにくい、夜に目が覚める、熟睡感がないという場合は、睡眠時間を短くしていきます。
①睡眠時間を30分減らし、1週間ほど続ける。
 改善されない時は…
②さらに30分減らし、1週間ほど続けます。
 改善されたところが、ベストの睡眠時間です。

 睡眠日誌をつけることも有効です。何時間寝た時に、日中の気分が爽快か、日中のパフォーマンスが上がるのかなどの記録を取れば、気づきが得やすいと思います。

 科学的に、夜型よりも朝型の方が生産的と言われています。特に、休日前夜も、夜更かしせずに平日のリズムと同じようなリズムで過ごします。効果的なのは、1時間早く寝て、いつもより1時間遅く起きる。平日よりも睡眠時間を2時間増やすことで、平日の疲れを取ります。
 寝溜めでは睡眠負債は返済できません昼遅くまで寝ていると睡眠のリズムが狂ってしまい逆効果です。昼遅くまで寝るよりは、いつも通りの時間に起きて、短時間の昼寝をした方がマシのようです。夜に寝るまでの前8時間を起きていれば、睡眠に影響はなさそうです。



良質な睡眠を取る方法

 良質な睡眠を取る方法は、“生体リズムに則した生活をすること”と“休息と活動のメリハリ”です。ポイントは3つ。

睡眠と覚醒はセット
 良い睡眠が活動量(パフォーマンス)を高め高い活動量が良い睡眠を生みます眠れないと疲れが取れない、疲れないと眠れないとも言い換えられます。夜間は、体を動かさず、頭を使わない。そして、明日の良いパフォーマンスのために、疲れを取ります。日中は、よく体を動かし、頭を使う。そして、良い眠りのために、疲れを溜めます。
 体と脳のONとOFFのメリハリをつけるということです。

睡眠と覚醒のスイッチは体温と脳への刺激
 睡眠時はしっかりと体温を下げて眠りの質を上げる日中はしっかりと体温を上げてパフォーマンスの質を上げるということが大事です。
 人の体温は、“筋肉や内臓による熱産生”と“手足(皮膚)からの熱放散”によって調整されています。暑い時に汗をかくのは、体の熱を逃がすためです。日中は深部体温(平熱)の方が手足の温度(皮膚温度)より2℃ほど高い。深部体温を効率的に下げるために、一旦、皮膚温度を上げて、手足に多くある毛細血管から熱を放散します。だから、寝る前から睡眠中は、手足が温くなるのです。深部体温と皮膚体温の差が小さくなればなるほど眠気が強まることが分かっていますので、差を縮めることが大事です。そのため、入浴手足を温めたり冷やしたりすることも大きなポイントとなります。
 脳への刺激は思考と光の調整入眠前は考え事をしない(退屈をつくる)ようにすることです。そして、光を浴びること光を遮断することで生体リズムが整っています。起床時には、日光を浴びることで、1日が始まるというスイッチが体に入ります。(覚醒ホルモンのコルチゾールが分泌) 雨や曇りで太陽が見えなくても、体内リズムや覚醒に必要な光の成分は脳に届きます。逆に、入眠前には光を避けることです。(覚醒を抑えるメラトニンの分泌が抑制されるため)
 以上のことを踏まえて環境を整えると、睡眠と覚醒のスイッチがしっかりと入ります。 


寝つきを良くするための仕掛け

①夕食はしっかりと摂る。ただし、夜遅くの夕食は避ける。
 →食事をしないと覚醒物質のオレキシンが分泌され、食事をするとオレキシンが低下するようで  
  す。オレキシンは、交感神経の活性化や体温上昇も引き起こします。消化には3時間程かかる 
  ようで、消化活動が盛んだと睡眠モードに入りづらくなります。興奮作用や覚醒作用があるの
  で、寝酒(大量のアルコール)、寝る直前のタバコも避けた方が良いようです。体質にもよる
  ようですが、少量のアルコールは大丈夫のようです。
②夜に激しい運動はしない。
 →交感神経を興奮させるため、寝付きにくくなります。寝る前には、ゆっくりとした腹式呼吸や
  脱力ができる筋弛緩法などを行なうことが効果的です。
③入浴では、湯船に浸かる方が良い。入眠30分くらい前までに、40℃前後のぬるめのお湯に浸かる
 ことが、リラックスには向いている。
 →交感神経の興奮がおさまり、入浴後の深部体温の降下を促します。湯船に浸かると深部体温が
  0.5℃ほど上がります。深部体温を下げる妨げになりそうに思えますが、深部体温は上がった
  分だけ大きく下がろうとする性質があるので、深部体温が急降下することが分かっています。
  ちなみに、42℃以上の熱めのお湯に浸かる場合は、入眠1時間以上前に入ると良いみたいで
  す。(深部体温が十分に降下するまでに時間がかかるため)ただし、浸かり過ぎは、湯疲れを
  するので避けましょう。すぐに寝たい時は、シャワーや足湯だけがベストのようです。※足湯
  は、シャワーよりも効果が高いようです。
④手足を温める。
 →手足が温くなると眠くなります。私は、寒い時期は、入浴後に保温効果のある靴下を履き、指 
  先の空いた手袋をはめています。布団に入ったら、靴下と手袋を脱ぎます。靴下を履いたまま
  寝ている方もおられるかもしれませんが、足から熱が逃げにくくなり、深部体温が下がりにく
  くなりますので、脱ぐ方が良いようです。
⑤部屋の温度と湿度を適度にする。
 →熱くて汗をかいたり、寒くて乾燥したりすると、不快になり眠りを妨げます。個人差もありま
  すが、一般的には、冬は16~20℃、湿度50%以上、夏は25~28℃、湿度70%以下が適切とい
  われています。
⑥入眠30分くらい前からは、暖色系で暗めの照明に切り替える。スマートフォン,タブレット,パソ
 コンの光もNG。
 →明るすぎる照明は、脳と交感神経を興奮させ、覚醒を抑えるメラトニンの分泌を抑制するた
  め、眠りづらくさせます。
⑦寝る直前(20分以内)にトイレに行く。
 →夜間排尿による中途覚醒を避ける(減らす)ためです。
⑧寝る時間を固定する。理想の入眠時間に合わせて布団に入る。
 →生体リズムが整います。定刻前でも眠くなればすぐに布団に入ります。逆に、眠れない時は、
  一度布団から出て気分転換(静かな音楽を聴くなど)をすると良いようです。
⑨布団に入る時は、電灯を消し、真っ暗にするのがベスト。
 →完全に光を遮るとメリハリがつきます。私は、アイマスク(ストレスレスの耳掛けではないタ
  イプ)をつけて寝ています。寝る前に、ホットタオルを目に当てるとリラックスできるようで
  す。
⑩布団に入ったら、ゆっくり呼吸をしながら、脱力をする。
 →リラックスすることで交感神経を沈めます。ちなみに、私は、重力で敷布団に沈みこむイメー
  ジで全身の力を抜きます。
⑪布団に入ったら、考え事はしない。頭を真っ白に
 →脳が興奮していると体温も下がり難くなります。また、交感神経も興奮させます。心配ごとや
  悩みごとを考えることは、ストレスも生むため、もっての外です。これから先のことは、明日
  に考えましょう。
○その他、騒音対策、寝具(枕,敷布団,掛け布団)選び、パジャマ選び、ラベンダーやカモミール
 などの鎮静効果のある香りを使うなど、様々な工夫もあります。


スッキリと目覚め、活動モードにするための仕掛け

①起床時間の20分前と起床時間の2回、アラームを鳴らす。
 →20分の余白をつくることで、スッキリと起きられるタイミングの幅を拡げておくためです。
②まず、上半身を起こす。頭が先に起きる訳ではないので、少し眠くても理屈ではなく体を起こ
 す。
 →立つことによって、血圧を上げる。交感神経が優位になり、体温も上がります。
③布団から出たら、太陽光を浴びる。カーテンやブラインドを開ける。
 →光を浴びると体内時計がリセットされます。メラトニンの分泌を抑え、覚醒物質のコルチゾール
  が分泌されることで覚醒が促されます。
④手と足の裏を冷やす。手と顔を冷たい水で洗い、しばらく素足で過ごす。
 →手足を冷やし、体温を上げる。深部体温と皮膚体温の差を広げます。私は、冬の朝は少し苦手ですが、手と顔はがんばって水で洗っています。そして、しばらく素足で床の冷たさを堪能しています。[笑]
⑤朝食をしっかりと噛んで摂る。温かいものを飲む。(味噌汁,スープ,お茶,コーヒー)
 →エネルギーを補給することで体温を上げます。よく噛むことで、脳も刺激されます。温かい汁物も体温を上げるのでgood。(特にカフェインは、覚醒にも有効)
⑥日中は、体や頭を使い、活動的に過ごす。
 →疲れを溜めることで眠りやすくなります。
○その他、午後に1時間以上太陽光を浴びると、夜にメラトニンの分泌が盛んになるようです。


睡眠の質を高めるには眠り始めの90分が重要
 最新の研究で、最初の90分間(ノンレム睡眠)睡眠全体の中で最も深い眠りであることが分かっています。この最初の90分をしっかりと深く眠る(第3・4段階にする)ことができれば最高の睡眠が取れるようです。
この90分で…
・睡眠のリズムが作られる。
・眠気が最も解消される。
・成長ホルモンの70~80%が分泌される。(細胞の増殖や新陳代謝)
・自律神経が整う。(副交感神経が優位になる)
・脳のコンディションが良くなる。(記憶の定着、嫌な記憶の消去)
だから、健康的で、体も頭もスッキリとし、パフォーマンスが上がる。

 逆にいうと、最初の90分の睡眠の質は下げてはいけない目覚めることのない環境を整える必要があるということです。睡眠が阻害されると、その後の睡眠リズムは総崩れしてしまい、睡眠の質は悪くなります。眠気も解消されず、副交感神経にも切り替わらず、成長ホルモンも極度に減少します。疲れが取れずに、体調を崩すリスクが高くなります。脳のコンディションも低下、モチベーションも上がらず、パフォーマンスも低調となるでしょう。

 睡眠の質が人生の質を左右します

 良質な睡眠を取らないと損をするというようなヌルイ話でもありません。睡眠を甘く見ると、命取りや台無しの人生になります。人生を充実させるためには、睡眠の充実が欠かせません。
 今こそ、睡眠を生活の中心に据えましょう。
 睡眠の工夫は、お金をかけなくても、すぐに、簡単に始めることができます。



あったかいふとんでぐっすりねるこんな楽しいことがあるか野比のび太
藤子不二雄(漫画家 藤本 弘安孫子 素雄

 
 さあ、良い睡眠を取って、躍動的な人生を手に入れよう。





◆参考図書:西野精治 著「スタンフォード式 最高の睡眠」 サンマーク出版 2017年
◆参考図書:白川修一郎 著「命を縮める睡眠負債を解消する」 祥伝社 2018年



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