★投稿修正★ 2026年8月9日 by a-NEN
近年、よく耳にし、注目を浴びているのは、“有言実行”
昔から、日本で美徳としてきたのは、“不言実行”
さて、どちらが優れているのでしょうか。
まずは、言葉の意味を簡単におさらいします。
有言実行
“自分が言ったことをしっかりと行動に移すこと”
人によっては、行動に移した先の“成果を出す”ところまで意味合いに含めているようですが、“行動に移す”という解釈に留めて良いと考えます。なぜなら、掲げた目標が実現できるかどうかは、自分の努力だけでは何ともできない部分もあるからです。
有言実行は、攻めた姿勢を表し、華やかな輝きがあります。
不言実行
“まわりに何も言わず、行動に移すこと”
ちなみに、“不言実行”という言葉は、中国の思想家.孔子の言葉であり、“有言実行”という言葉よりも随分と先に生まれています。付け加えると、“有言実行”とは、“不言実行”を加工してできた言葉です。

【孔子の言葉】
「先行其言、而後従之。まずそのげんをおこない、しかるのちにこれにしたがう」
“(人の上に立つ立派な人は、)まず実行する、言葉はその後である”という意味です。
「言之必可行也、君子於其言、無所苟而已矣。これをいえばかならずおこなうべきなり、くんしはそのげんにおいて、いやしくもするところなきのみ」
“一度話したら必ず実行しなくてはならない。慎重に言葉を選び、軽々しく言ってはならない” という意味です。
孔子の真意を紐解くと、解釈には深みがあります。“言葉よりも行動が先” “軽率なことは言わない”という意味があります。
不言実行は、控えめな姿勢を感じさせ、堅実さや渋さがあります。
有言実行と不言実行、あなたは、どちらが優れていると思いますか。
【少し考えてみて下さい】
それでは、有言実行と不言実行とでは、どちらが優れているのか。
私の結論は..
どちらも優れており、優劣はつかない。
それぞれに利点と不利な点があり、状況に応じて使い分けるもの。
結論だけを聞くと、何だかありきたり..[汗]
ご安心を、この後、考えを解説いたします。
有言実行と不言実行、それぞれの利点と不利な点を整理しました。
有言実行
利点
●まわりに宣言する勇気と実行力が評価される。
●注目を浴びるので、自分を売り込むことができる。
●宣言することで自分の意識が高まり、やらざるを得ない状況にもなるため、実行率が高まる。
●まわりから気にかけてもらえる。応援や協力がもらいやすい。
不利な点
●必ず実行しないといけないので、プレッシャーがかかる。→重圧がある。
●実行しないと、“有言不実行”となり、まわりの信頼を失う。→口先だけの人になる。
●主張する分、奥ゆかしさはない。
不言実行
利点
●人知れず淡々と行なうという格好良さがある。
●わざわざ言わないので、奥ゆかしさがある。
●必ずしも実行しなくてもよいので、プレッシャーがない。→重圧がない。
●実行がないと“不言不実行”。実行しなくても、まわりの信用は失わない。→軽率な発言が防げる。
不利な点
●言葉にしないので、自分の意図が他人には伝わり難い。
●注目を浴びないので、自分を強く売り込むことには向かない。
●実行率では、プレッシャーがかかる有言実行の方に分があると思われる。意志の強さ(自分との約束を守る度合い)にもよる。
関連するので、その他の2つ“有言不実行”と“不言不実行”についても掘り下げておきます。
有言不実行
“宣言だけして、行動に移さないこと”
これは、誰も得をしませんし、明らかに良くないものです。
本人は、格好が悪いだけに留まらず、自分の信用を失くしてしまいます。いわば、童話のオオカミ少年のような感じですネ。また、まわりの人は、その言葉に振り回されたり、裏切られたことで傷ついたりします。
「こんなバカなことをする人の顔が見てみたい」と思われたあなた!
あなたも知らず知らずのうちに“有言不実行”していませんか。
有言不実行と言うと、何か大きな目標に対しての宣言と考えがちですが、実は、日々、何気なく発する言葉にも当てはまります。一番身近なものは、相手との『約束』です。守れるかどうかも分からない約束をして、破ってしまうことはありませんか。私は、自身に心当たりがあります。[汗] この時、多かれ少なかれ、私の信用や価値には傷がついているはずです。[涙]
時には、自分の力だけではどうすることもできない不可抗力で、約束が守れないこともあるとは思いますが…
ともあれ、有言不実行になった際には、まずは素直に謝ることが大事になるでしょう。そして、次の行動で信用を回復させることです。簡単に約束を破る癖がついていると、誰からも完全に信用されなくなります。守れない約束を軽々しくしない、約束を破ってしまった時には誠心誠意謝る、そして次の行動で認めてもらう。これに尽きます。
不言不実行
“何も言わず、何も行わないこと”
つまり、何もしないということです。まわりに宣言もしないので、究極の守りの姿勢と言えます。行動に移さないと、何も起こりません。成長もしませんし、人生も楽しめません。
これは、4類型の中で、最悪だと感じるかもしれません。
しかし、究極の守りの姿勢は、本当にダメなのでしょうか。
視点を変えてみると、時には必要で、大事なことでもあることが分かります。
例えばどんな時か。それは、『心身の調子が良くない時』です。私たちは、いつも元気という訳ではありません。調子が悪い時は、無理をせず、何もしないことが正解であることがあります。特に、がんばり癖のある人は、無理をし過ぎて、病気になってしまう危険性が高いと思います。
当たり前ですが、ずっと不言不実行だとダメです。ただ、時には、肩の力を抜いて、何もせずにボーっとすること、心身のエネルギーを充電させることも必要だと考えます。
そうすると、4類型の中で、一番避けたいのは… “有言不実行”?
確かに、一番避けたいのは、有言不実行です。
ただし、有言不実行には良い面もあります。
それは、『信用を失う経験が、自分の成長を促す』という側面です。“失敗があるからこそ、成長ができる”という人生の方程式に当てはまります。
私たちは、過ちを犯したり、失敗をしたりする不完全な生き物なので、有言不実行を全く経験せずに生きることは不可能です。全ての人が通り抜けるもの、貴重な経験であると考えると、陥っても、必要以上に落ち込むことはないのです。大事なのは、次にどう活かすかです。
では、有言実行と不言実行に話を戻し、まとめます。
どちらも行動に移しているという点で、すでに立派で、格好良い。
重要なのは、行動に移し、努力すること。自分の信念や発言に責任を持つこと。約束を果たそうとする気概です。結果だけではなく、プロセスにも価値が.. 【関連記事●結果にこだわる? それとも、プロセス(過程)にこだわる?】
両者には、スタイルの違いがあるだけです。
有言実行には、自己主張と重圧(プレッシャー)があり、不言実行には、どちらもない。
不言実行には、語らず行なう奥ゆかしさがあり、有言実行には、奥ゆかしさがない。

有言実行の最大の特徴は、自分自身にプレッシャーをかけることだと言えます。
宣言をすることで、まわりから、実行するかどうかのチェックをされます。実行すれば、格好の良さに加え、信用が高まり、人としての評価自体も上がります。
また、宣言をして、退路を断つ訳ですから、実行率も上がります。(実際、宣言をして行動を強化するという技術があります。) 仕事のノルマや学校,部活の課題など、必死にがんばらないといけない時もあります。また、人生、勝負をしないといけない時もあるでしょう。そんな時は、有言実行がお勧めです。プレッシャーの中でこそ、必死になれるし、挑戦できることもあります。自分を追い込んだ先に、眠っていた才能が開花することもあると考えます。
有言実行が、信頼を取り戻すための約束としての宣言という場合もあるでしょう。
ともあれ、必ず実行するというリスクを背負い、プレッシャーとも戦う訳ですから、有言実行者のパワーやバイタリティに勝るものはありません。
ただし、有言不実行となった場合、言ってることとやっていることとの辻褄が合わなくなるため、信用を損ね、人としての評価自体も下がります。(信用とは、過去の言動や実績から判断されて決まる。) 実行できずに後で悔やむくらいなら、軽はずみな発言は慎むべきでしょう。特に、誠実なタイプの人なら、自己嫌悪に陥る危険性もあります。
また、元気がない時も、体調を崩す危険性が高いため、有言実行は避けた方が無難です。
人によっては、自分で行動に移せそうな無難なことだけを公言する場合もあるでしょう。少し物足りなさも感じますが、これはこれで良いのではないかと思います。公言するかしないかは、自分自身に委ねられています。能力は個人によって様々ですし、年齢的なタイミングなどもあります。そもそも、自分の置かれている状況や結果における評価は、自分自身ではできますが、他人が評価できるものではありません。
不言実行の最大の特徴は、自分の内に秘めるという奥ゆかしさ、味わい深さがある点です。
これは、私たちが不言実行に惹かれる理由でもあります。
実行計画と実行が自分だけで完結しているので、あれこれ言わず、黙って自分が決めたことを実行します。この世界には、『語らない美しさ』というものもあります。なぜ美しいのか。それは、受け手である相手に対して、想像という余白を残すからです。
自分が何かを成し遂げたい時、わざわざまわりに言う必要のあるものがいくつあるでしょうか。ほとんどのものは、自分の心の内に留めておくだけで十分なものばかりです。
例えば..
①自分だけで秘めている夢や目標〈絵を描き続ける→絵画展を目指すなど〉
②自分の悪い習慣をやめること〈悪口を言う,他人の忠告を参考にしない,運動不足,夜ふかしなど〉
③他人のためを思ってすること〈親切,手助け,お裾分け,プレゼントなど〉
毎日1時間何かの勉強や練習をする、月に1冊は本を読む、健康のために何かをするなど、自分のためにすることは、わざわざ他人に言う必要性はありません。相手の気を引きたい場合は、別かもしれませんが.. その場合も、あまりアピールし過ぎると逆効果かもしれません。悪い習慣を断つ場合も同様です。
特に、まわりに気づかれずにする方が良いことは、親切など他人のために行なうものです。なぜなら、相手に気遣いをさせずに行なうからです。「あなたに優しくします」「人に優しくします」と言ってしまうと、少し興ざめをする感がありますよネ。見返りも、感謝されることも、たたえられることも望まず、ただただ相手のためを思って行う。それは、とても尊いことです。
語らず、するべきことをやってのける。これはこれで、凄みがあり、魅力的なのです。
自分を追い詰めることがしんどい場合には、不言実行がお勧めですが、自分を追い込みたい場合やまわりに自分を売り込みたい場合は、有言実行に分があります。
もちろん、公言というプレッシャーがなくても、自分の意志次第で実行率を高めることも可能ですが..
“有言実行”と“不言実行”は、時と場合によって使い分けましょう。
「夢なき者に理想なし、
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし。
故に、夢なき者に成功なし」
吉田松陰(武士,思想家,教育者)
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